何気ない言動の中に隠された真犯人しか起こしえない言動

殺人事件もののドラマでよく見かけるとあるシーンに疑問を持ってて、それについて考えてみた。

殺人事件の有力な容疑者(仮に容疑者Aとする)を逮捕したものの、その後の捜査でその容疑者が犯人だと腑に落ちない点が見つかり、刑事がその事を遺族(仮に遺族Bとする)に話してみると、その遺族が「例えばこれこれこういう可能性もありますよね?だから、やはり犯人は容疑者Aで間違いないんじゃないでしょうか」というように、逮捕した容疑者が真犯人であろう事を後押ししようとするシーンは定番的によく見かけるけど、この行為ってその人(遺族B)が真犯人である以外にありうるのだろうかと疑問に思った。

殺された被害者遺族の心情の深さは想像を絶すると思われ、実際のところわからないけれども、推測するに以下のように思う。

遺族Bが真犯人ではない場合、遺族Bが望むべくは「真犯人」が逮捕・裁かれる事であろう。「誰でもいいから疑わしい人が誰かしら裁かれてくれれば気が済む」なんて事は考え辛い。


確かに犯人が逃げてのうのうとどこかで暮らしている状況下で生きていくのは苦しい事だろうし、一刻も早くその苦しい状況から脱する為に、実際のところ真犯人かどうかは頭の隅においやり、逮捕された容疑者が真犯人で間違いないのだ!と思い込むことで気持ちをスッキリさせたいというのはあるかもしれない。
でもそのような追い詰められた心情ならば、上記の例として遺族Bが言った後押しの言葉のような、落ち着いた説得的説明をするとは考え辛い。「他に真犯人なんているわけないだろ!あいつが犯人に決まってるんだ!」なんて取り乱しながら言った方が、追い詰められて、信じ込もうとしてるように見える。

そんなわけで、定番のこのようなシーンがあったら十中八九、その人が真犯人じゃないかと思う。


それにしても、こういう一見自然に見える言動が、実はその時の立場や心境の人にとってはありえない言動である事から、嘘を言っているというのが判明するケースって意外とありそう。しかしその人の立場や心境になって考えてみる事なんてなかなかしないし、殺人した人の気持ちなどのように、なかなか想像できないこともある。そんな事を考えていると刑事もののドラマで度々見かける心理捜査(?)って、証拠にはなりづらいのかもしれないけど、非常に有効な突破口になるんだろうなと思う。