学校で「保護者の職業」を収集する意味
学校が扱う生徒情報の電算化が勧められる中で、様々な教務システムが多数の会社から出ていて、それらを色々と調べた事がある。具体的には生徒の個人情報や成績など様々な情報を入力・蓄積し、それに対して通知表であったり、調査書、各種証明書などが出力できるというもの。
で、調べていた中でシステムに個人情報として入力する項目群の中に「保護者の職業」というのがあって気になった。緊急連絡先として保護者の職場の会社名、連絡先を入力するのは意図がわかるが、職業まで集計して何に使うんだろうと。実際に見かけた帳票としては、保護者の職業別生徒数の表が出力できるようだった。さらには縦列がクラス、横行が保護者職業という、クラス別の人数表なんていうものまであって、さらに疑問。クラス分けのバランス調整にでも使うのか!?と思ってしまうほど。
そもそも情報というのは何かしらに使えるかもしれないわけだから、多ければ多いに越した事はないけれども、個人情報であるからには無闇に情報要求はできず、必要最低限に留めておいた方が無難。システム側も大抵のニーズに応えるために入力できる項目群を最大化してるとは言っても、ある程度のニーズが無ければ導入しないだろう。導入しているという事は、それなりの需要と目的があるはず。
学校が保護者の職業を集計する目的は色々と考えられるけど、どうも腹黒い目的ばかり浮かんでしまう。
まず「保護者の職業」という情報は、誰の情報として扱うかを考えると、一つは「保護者としての情報」。もう一つは「その職業に就いている保護者の子供としての情報」。
前者はあまり思いつけないけれども、保護者会(≒PTA)関係として、例えば役員選定に役立てるとかだろうか。クラス別の各職業人数表が用意されてるのも、役員が務まりやすい職業に就いている人を分散させるためと推測できる。
で、後者だけれども、「保護者の職業」は形を変えて以下のような情報として扱われる事が推測できる。
- 保護者の職業≒子供に就かせたい職業(子供自身が就きたいと思いやすい職業)
- 保護者の職業(就く為の知識量差)≒子供の優秀さ
前者の子供に就かせたい職業として見れば、受験者(入学者)からその学校がどういうイメージで見られているか(どういう職業を目指す学生が受験に集まってきてるか)を知る事ができる。そこからカリキュラムの見直しへと繋げられるかもしれない。ただし昔とは違って、最近の子供が目指す職業は保護者のそれにあまり影響しない気がする為、この見方は使えないように思う。
後者は、保護者が猛勉強をしないと就けない職業であれば、子供に対しても勉強する事に厳しくなって子供もまた優秀になる傾向となりえるため、例えば極端な話、受験合格者を決める際に医師や弁護士を優先的に合格させるなんて恐ろしい事をしている学校があってもおかしくない。そうする事で例えば東大などを狙う生徒の増加が狙えたりするわけだ。
まあ上記極端な例のような使い方が暗に出来るとして、教務システムに導入してるというのは、開発元のイメージダウンにも繋がるため考え辛い。少なくとも公にしている利用手段としては他にあるはず。
ここで挙げた中では役員選定が最も有力と思う。しかし保護者側としては、まさかそんな風に自分の職業情報が扱われ、生徒のクラスが決まってたり、役員に選定されたりしてるとはなかなか思わないだろうなぁ。